2025年5月25日、NHK大河ドラマ「べらぼう」。
「狂歌」って?庶民の言葉で笑いや風刺を詠み込む「狂歌」の世界が面白い!
今回は、そんなドラマの印象的な名台詞・名場面・名狂歌とともに、「狂歌ってなに?」という疑問にお答えしつつ、その魅力を解説していきます。
※本記事には広告リンクが含まれています。商品やサービスは信頼できる情報をもとにご紹介しています。

狂歌とは?──和歌なのに「狂ってる」?
狂歌は、五・七・五・七・七の和歌の形式を守りつつ、
その中身には庶民的な笑い、風刺、皮肉、艶、哀愁――
あらゆる感情を「ことばのひねり」で表現した江戸の文学。
もともと貴族や上級武士がたしなんでいた和歌に対して、
狂歌はより大衆的で、自由で、ユーモラス。
庶民の「生きた言葉」を活かした文芸だったのです。
ドラマ内でもこんなセリフがありました:
蔦重「和歌は“雅語”を使わなきゃいけねぇけど、
狂歌はふだん俺らが話す言葉で詠んでいいらしいです。」
この自由さが、多くの人を狂歌の世界へと惹きつけていったのです。
狂歌師・元木網(もとのもくあみ)登場!
ドラマで登場したのは、狂歌連の会主「元木網」。
この名もまた“もとのもくあみ(元の木阿弥)”というシャレに満ちた狂名(きょうめい)。
狂歌の世界では、このように俳号ならぬ“狂名”を名乗って活動するのが粋だったのです。
会の参加者たちは、持ち寄った狂歌を披露し合います。
今宵のお題は、「鰻に寄する恋」──なんとも江戸っ子らしい、食い気と色気が混じるテーマ。
名狂歌続々!笑って学べる一句一句
まずは狂歌師の朱楽菅江(あけらかんこう)の狂歌。
わが恋は 鰻の見えぬ桶のうちの
ぬらぬらふらふら 乾く間もなし
恋の火照りと、桶の中で姿をくらますうなぎの様子を重ね、リズムよく詠んでいます。
「ぬらぬら」「ふらふら」「(涙も)乾く間もなし」の擬態語の面白さに、思わず笑ってしまいました。
「むらむらしてこそ鰻だ」
四方赤良(しほうのあから)大先生のご指南!
「鰻はやはり、むらむらありたい。」
なんとも言えない艶っぽさと、ちょっとおバカな響き。
蔦重も思わず吹き出してしまいます。
この“下ネタ(⁉失礼)寸前”のギリギリのユーモア。
そこに狂歌の「江戸の粋な色気」が漂っています。
そして、他の登場人物たちの狂歌もユニークで、どれもクスリとさせる味があります。
軽少ならん作🤣
来ぬ人を 待つほど恨む夕鰻(ゆうなぎ)は
焼くやも塩か タレ惑いつつ
待てど暮らせど来ない相手を、焼かれるうなぎに重ねる切なユーモア。
恋する人を待ちながら、鰻の味付けにも悩む心情。
“塩かタレか”という日常的な迷いを、
“恋の焦燥”と重ねるセンスに思わずニヤリ。
恋か、食か、詠み手自身が揺れているようです。
名場面:「あな鰻」から始まる即興
特に印象的だったのが、主人公が初めて狂歌に挑戦するシーン。
あな鰻
ああうまそうな蒲焼の
山芋とろとろ こりゃうまそう
……これには一同失笑。
もはや狂歌というよりただの飯テロ。
ここで狂歌師・四方赤良(しほうのあから)が、この歌を手直しします。
あなうなぎ いづくの山のいもとせを
さかれて後に 身を焦がすとは
すごい!
語呂もよく、言葉の奥行きも深まったのがわかります。私の語彙力のなさ😭
“いづくの山の芋”や”さかれて後に‘“身を焦がす”といった古典的な言い回しも混ぜつつ、恋と食のダブルミーニングが見事に織り込まれた逸品。
これはまさに、ことばの「遊び」と「技」の結晶です。
名台詞:「詩は李白 書は弘法に 狂歌 俺」
「詩は李白、書は弘法、狂歌、俺。」なんてな! 四方赤良。(一同爆笑)
つまり、詩文は中国の大詩人・李白、書道は弘法大師空海、では狂歌の達人は?と問われれば、「自分だ」と堂々と言い切る。その姿に、
一同からも思わず笑いと拍手。
自分が生きる言葉の世界を心から愛している証ですね。
狂歌のルーツと中国詩文化とのつながり
狂歌は和歌の一種ですが、
「漢詩文化の洒落た応用」という側面もあります。
中国の知識人たちが宴席で即興で詩を詠みあう文化は、
遣唐使などを通じて日本にも影響を与えました。
たとえば李白は“詩仙”と称され、
その自由奔放な詩風は、
江戸の狂歌師たちにも間違いなく影響を与えたのでしょう。
そして日本では川柳、短歌、俳句など、さらに発展し現代も楽しまれています。
「笑い」を形式化することで、人は傷つけずに風刺し、楽しみながら社会を映す。
狂歌とは、まさに“言葉で遊ぶ日本人”の原点だったのかもしれません。
さいごに──言葉で遊ぶ、ひらめきの快感
「狂歌」と聞くと難しそうに思うかもしれません。
たとえば──
「亭主元気で留守がいい」
これも立派な“現代狂歌”だそうです。
意味がわかりやすく、リズムがあり、ちょっぴり毒と笑いを含んだ名句です。
ドラマをきっかけに「狂歌」にふれることで、
言葉で笑う喜び、ひらめきの快感、そして“詠むことの楽しさ”をあらためて感じました。
📚もっと知りたいあなたへ──江戸の粋を深めるおすすめアイテム
■ 狂歌の世界にひたれる名著
\江戸人のユーモア感覚にふれてみませんか?/
■ 和の風情を楽しむ文具たち
\あなたも“ことば遊び”を始めてみませんか?/
\私も使っています/
\私も使っています/
\私も使っています/