※この記事は2025年10月18日に訪れた際の記録です。
北京2日目。
天安門広場から、いよいよ紫禁城の中へ進んでいきます。
最初に通るのは 端門(たんもん) → 午門(ごもん) → 太和門(たいわもん)。
皇帝の儀式が行われた“外朝”の中心へ向かうルートです。
予約したチケットは、入口でパスポートを読み込むだけで入場完了。
紙のチケットやQRコードは不要で、とてもスムーズでした。
また、日本語音声ガイドは午門のチケット売り場でレンタル可能。
建物名や儀式の意味などをその場で理解できて、観覧の質がぐっと上がります。
■ 端門(たんもん)|紫禁城の“はじまり”
紫禁城に向かうと最初に現れるのが 端門。
青地に金文字の扁額と極彩色の斗拱(ときょう)が鮮やかで、
晴れた空に美しく映える門です。

端門を抜けると、
いよいよ紫禁城の正門・午門が大きな姿を現します。
■ 午門(ごもん)|高さ35m、紫禁城の正門
端門の先にそびえる巨大な建物が 午門。
高さ約35m、幅140mというスケールで、
その迫力は写真以上。思わず立ち止まってしまう大きさです。

午門をくぐると、外朝の中心部へ進んでいきます。
そして目を引くのが、深紅の木扉に金色の門釘が整然と並ぶ 格式の象徴・九鼎門釘の扉。
この時点で、建築の色彩・スケール・細部装飾に圧倒されっぱなしでした。

■ 太和門(たいわもん)|太和殿へ続く儀式の玄関
午門を抜けると、
5つ連なる白い大理石の橋「内金水橋」の先に、大きな広場が広がります。
真ん中の橋は皇帝専用です。
ここからさらに荘厳な空間へ進む期待が高まります。

そして姿を現すのが 太和門。
青地に金文字の扁額、赤柱、極彩色に塗り上げられた斗拱。
外朝の中心、太和殿へと向かう“儀式の玄関口”です。


儀式の中心となる太和殿へと続く重要な門。
太和門に向かう階段の中央に敷かれているのが、「雲龍石刻(うんりゅうせっこく)」。
巨大な一枚石に、龍が雲を呼ぶ吉兆の彫刻が施されています。

皇帝の輿だけが通る専用ルートで、龍の彫刻が浮かび上がる。
■ 太和門前の青銅獅子
太和門の前には、一対の青銅獅子が置かれています。
中国宮殿の獅子像は、“獅子自身から見て” の左右 が基準。
脚で見分けるのが最も正確です。
- 獅子の右前脚で玉を押さえている → 雄(オス)=皇帝
- 獅子の左前脚で子どもを守る → 雌(メス)=皇后

獅子自身から見て右が雄(玉を踏む)、左が雌(子どもを守る)
門を守護する象徴
■ 屋根を見上げると“格式”がわかる
五脊六獣と屋脊走獣
紫禁城の建築は、屋根そのものに格式(ランク)が刻まれているのが特徴です。
● 五脊六獣(ごせきろくじゅう)
紫禁城の屋根は
- 大棟1本+降り棟4本=五脊(5本の棟)
- その棟の上の瓦・装飾全体=六獣
という中国の伝統的な屋根形式で作られています。
● 屋脊走獣(やせきそうじゅう)
特に目を引くのが、降り棟の先端に並ぶ霊獣の行列 屋脊走獣。
先頭には必ず 仙人騎鳳 が立ち、
龍・鳳・獅子・天馬・狻猊・押魚などの霊獣が続きます。
建物の格式が高いほど数が多く、太和殿では最大の 10体 が並びます。

先頭の仙人騎鳳に続き、龍・鳳・獅子などの霊獣が並ぶ紫禁城の伝統的な屋根飾り。
建物の格式を象徴する装飾。太和殿では10体が並ぶ最上位。
紫禁城の走獣10種類(一覧)
| 順番 | 名称(漢字) | 読み | 意味 |
|---|---|---|---|
| 仙人 | 仙人騎鳳 | せんにんきほう | 走獣の指揮者 |
| 1 | 龍 | ロン | 皇帝・権威 |
| 2 | 鳳 | ホウ | 皇后・繁栄 |
| 3 | 獅子 | シシ | 魔除け |
| 4 | 天馬 | テンマ | 勇気・成功 |
| 5 | 海馬 | カイマ | 火災除け |
| 6 | 狻猊 | サンゲイ | 文才・知性 |
| 7 | 押魚 | ヤーユー | 火除け |
| 8 | 獬豸 | カイチ | 正義・清廉 |
| 9 | 斗牛 | トウギュウ | 安定 |
| 10 | 行什 | ハンシー | 最上位の守護 |
■ 故宮チケットの予約方法
故宮は 完全事前予約制。
7日前の20時(中国時間)=日本21時 に予約が開放され、
人気日は数分で完売することも。
- 公式HP・WeChatでも予約可能(※中国の電話番号必須)
- 日本在住者は難易度が高い
私は Trip.com の代行サービス を利用し、
1257円(珍宝館・時計館なし) で確実に取得してもらいました。
自分で開始時間を待つ必要がないため、とても便利です。
午前・午後どちらの枠でも、入場後は 閉門まで滞在可能 です。
■ 故宮のトイレ事情|知っておくと安心
故宮にはいたるところにトイレがありますが、
午門を入ってすぐ右側のトイレは清潔で数も多く、おすすめ。
- しゃがむスタイル(和式)。日本のような前側の半球状の覆いはありません
- 紙は流さず、横のゴミ箱へ
- トイレットペーパーは備え付けなし → 必ず持参!
観光中に困らないためにも、最初にここで立ち寄っておくと安心です。
✨その① まとめ
端門から午門、そして太和門へと進むにつれ、
視界に入る景色がゆっくりと重厚さを増していきます。
真紅の扉、金色の屋根、繊細な斗拱や屋根の霊獣。
ひとつひとつの意匠が、紫禁城という巨大な世界の中で
確かな意味を持ちながら佇んでいました。
太和門へ続く大広場に立つと、
建物の配置や空の広がりが絶妙なバランスを描き、
自然と心が高まるような感覚があります。
長い歴史の積み重ねが、目の前の景色にそのまま息づいているようでした。
ここまでが紫禁城の入り口。
この先に続く太和殿では、さらに大きなスケールの世界が待っていました。
次はいよいよ、
紫禁城最大の建物──
「太和殿(たいわでん)」へ。