※この記事は2025年10月19日に訪れた際の記録です。
御仙都皇家菜博物館の昼公演を観終えたあと、私は天壇公園へ向かいました。
Trip.comで事前予約をし、QRコードで入場。東門から入り、南へと歩きました。
今回のルートは、
東門 → 皇穹宇 → 円丘壇(天心石) → 祈年殿 → 東門
所要時間は約1時間強。
主要スポットに絞れば、無理なく回れるコースです。

天壇公園とは|北京中軸線の南にある祈りの空間
天壇は、明・清代の皇帝が五穀豊穣を祈った国家祭祀の場です。
2024年には「北京中軸線」の一部として世界文化遺産に登録されました。
北京中軸線は、北の鐘鼓楼から南の永定門まで約7.8km。
その中心に紫禁城があり、政治の中枢が置かれています。
そして南に、祈りの空間である天壇。
政治と祭祀が一直線に配置された都市設計。
天壇は、天と人を結ぶ思想を体現した場所です。
皇穹宇|天帝を祀る円形建築
東門から南へ進み、まず向かったのは皇穹宇です。
ここは、祭祀の際に天帝の神牌を安置するための建物。
祈年殿や円丘壇での儀式と密接に関わる、重要な空間です。
青瓦屋根と金色の宝頂。
円形の建築と、それを囲む回音壁。
近づいて見ると、斗拱の重なりや龍の文様が非常に細やかで、装飾の密度に思わず見入ってしまいます。
円は「天」を象徴する形。
国家祭祀の場として、天を表す円形が選ばれています。
音が反響するといわれる回音壁も含め、
ここは祈りの準備が整えられる空間でした。

祭祀の際に天帝の神牌を安置するための建物。

天帝を祀る国家祭祀の建築です。
円丘壇|空と向き合う設計
さらに南へ進むと、三層の白い石壇が広がります。
これが円丘壇です。
中央の天心石に立つと、視界は空へと開けます。
屋根も壁もなく、ただ空と向き合う空間。
壇は九重構造。
九は皇帝を象徴する陽の極数とされます。
円形は天、三層は天・地・人。
建築というよりも、宇宙の設計図のような場所でした。
空の青と白い石の対比。
何も遮るものがない空間に立つと、自然と背筋が伸びます。

皇帝が天に祈ったとされる場所です。
祈年殿|青に圧倒される
北へ戻り、最後に祈年殿へ。
三層に重なる青瓦屋根。
空と溶け合うような深い青。
私は青色が好きです。
けれど、ここで見た青は、これまで知っていたどの青とも少し違っていました。
澄んでいるのに重厚で、
静かなのに強い。
その色を、私は心の中で「天壇ブルー」と呼びたくなりました。
内部には四季や十二か月を象徴する柱が配置され、宇宙観が組み込まれているといわれています。
空を背景にした青瓦屋根の存在感に、ただ圧倒されました。

紫禁城の黄色と、祈年殿の青
北京を歩いていると、色の違いに気づきます。
紫禁城の屋根は黄色。
祈年殿の屋根は青。
風水や五行思想では、黄色は「土」。
中央・安定・権威を象徴します。
皇帝が住む紫禁城にふさわしい色です。
一方、青は「木」。
成長・拡張・未来を意味します。
祈年殿は五穀豊穣を祈る場所。
木が成長し、実りをもたらす色が選ばれているのは自然なことです。
北京中軸線の南側という“陽”の位置に建つ天壇。
青は、未来へと伸びる祈りの色でもあります。
紫禁城の黄色が“地上の中心”を象徴する色だとすれば、
祈年殿の青は“天へ伸びる色”。
天壇の青に圧倒されたのは、
これから先の時間を、少しだけ意識している自分がいるからかもしれません。

魔除けと格式を示す装飾で、天壇では青い琉璃瓦が用いられています。

南北一直線に配置された祭祀空間が、天と地を結ぶ思想を表しています。
芝生に現れたカササギ
帰り道、芝生で2羽のカササギを見かけました。
黒い頭と淡い灰色の体、長い尾羽。
中国では「喜びを運ぶ鳥」とされ、七夕伝説では恋人を結ぶ橋をつくる存在でもあります。
祈りの空間で出会う吉兆の鳥。
偶然でも、少し嬉しくなりました。

出会えたことが、ちょっと嬉しい兆し。

少しだけ縁起が良い気持ちになりました。
女性一人旅として
私は旅先で一つ決めています。
暗くなる前にホテルに戻ること。
天壇公園は広く、地元の方も多く安心感があります。
主要スポットだけなら約1時間強。
時間に余裕があれば、西側の松林や回廊エリアまで足を伸ばすのもおすすめです。
今回はそこまで行けなかったことが、少しだけ心残りです。
まとめ|天壇は“色と空”を感じる場所
天壇は思想の建築です。
けれど私にとっては、青の建築でした。
円丘壇で空を見上げ、
祈年殿で青に圧倒される。
政治の北、祈りの南。
一直線に貫かれた北京中軸線。
天壇は、天と人の距離を考えさせてくれる場所でした。
そして天壇ブルーは、これからの時間を静かに照らす色のように感じられました。