正式名称は「妙厳寺(みょうごんじ)」──豊川稲荷は神社ではなく、曹洞宗の寺院です。
多くの人々に「豊川稲荷」の名で親しまれ、商売繁盛や金運招来、家内安全、厄除けなど**現世利益(げんせりやく:この世で得られるご利益)**を願う参拝者が後を絶ちません。

【特別な体験】新法堂・御本尊特別拝観に立ち会って
今回訪れた際、偶然にも「新法堂・御本尊特別拝観」が行われていました。
この特別公開は、令和6年12月1日から令和7年5月31日までの期間限定で開催されています。
通常は立ち入ることができない**法堂(はっとう)**の内部を特別に拝観できる貴重な機会です。
【特別拝観の見どころ】
- 新たな御本尊・千手観音菩薩像のお披露目
総丈2.7メートルもの迫力ある千手観音像は、優しさと美しさに満ちた柔和なお顔立ちで、訪れる人々を静かに見守っています。無数の手は「すべての人々を救う力」の象徴。その場に立つだけで、心の奥深くまで澄み渡るような清らかな波動が全身を包み込みました。
また、長年にわたり人々の信仰を集めてきた先代の御本尊は、新たな観音像の胎内仏として納められています。
これからも未来永劫、静かに人々の幸せを見守り続けてくださることでしょう。
- 千手観音と角塔婆を結ぶ“ご縁の紐”
本殿では、千手観音菩薩と**角塔婆(かくとうば)**が一本の紐で結ばれていました。
この紐は、直接観音様とつながる“ご縁の糸”を象徴しています。角塔婆にそっと手を添えることで、まるで観音様の御手に直接触れ、願いを届けているような温かな感覚に包まれました。 - 長年愛されてきた大黒天像
また、大黒様のお姿も強く印象に残りました。多くの人々が願いを込め、その身体に触れ続けてきたためでしょうか──ところどころが丸みを失い、体がへこんでいました。その柔和なお顔を見上げながら、自然と手を合わせ、感謝と敬意を込めて祈らずにはいられませんでした。

【新法堂・御本尊特別拝観の詳細】
- 開催期間:令和6年12月1日~令和7年5月31日
- 拝観時間:10:00〜14:00(※土日祝日は9:00〜15:00)
- 拝観料:500円(未就学児無料)
- 注意事項:法堂内は撮影禁止。法要や行事により拝観できない日程あり(公式サイトをご確認ください)。
■ 豊川稲荷での正しい参拝作法
豊川稲荷は曹洞宗の寺院であり、神社とは異なる作法があります。
神社のような「二礼二拍手一礼」は行わず、仏教に則った静かで丁寧な参拝を行うことが大切です。
【参拝の基本手順】
- 山門(総門)で一礼し、心を整えてから境内へ入る
- 手水舎で手と口を清める
- 静かに合掌し一礼する
- 本殿では「オン シラバッタ ニリ ウン ソワカ」という言葉を7回唱えながらお賽銭を入れます。この言葉は、豊川稲荷の守り神である吒枳尼天に対する祈りの言葉です。
ご本尊の千手観音菩薩のご真言は、「オン バザラ タラマ キリク」です。
この真言は「大いなる慈悲で私たちを救い導いてください」という意味を持ち、心を落ち着かせ、観音様とのご縁をより深めるとされています。
- 最後にもう一度合掌し、一礼して後ろへ下がります。
【霊狐塚での参拝ポイント】
- ここでは「願いごと」よりも、これまでのご加護への「感謝」を伝えることが何より大切です。
- 写真撮影は控えめにし、心の中で「撮らせていただきます」と一礼してから。
- 強い気が流れる場所ですので、体調や気分に応じて無理をせず、心身の調子を見ながら訪問するのが最良です。
■ 豊川稲荷の「龍脈」と気の流れ──大地に響く圧倒的なエネルギー
スピリチュアルの世界では、地の気が集まる場所は強いエネルギーを放つとされます。
風水でいう「龍脈」にあたるこの地は、まさにその象徴。
背後に霊峰・本宮山を控え、豊川の清らかな流れが大地を潤す──これは最上の「背山臨水」の地相。
自然のエネルギーが絶え間なく流れ込む“生きた場所”です。
豊川稲荷が祀るご本尊は千手観世音菩薩ですが、この地では「とよかわだきにしんてん(豊川吒枳尼真天)」への信仰も広く伝わっています。
吒枳尼真天はもともとインドの夜叉「ダーキニー」に起源を持つ存在で、日本に伝わる過程で白狐に乗る天女の姿となり、稲穂を持つ姿から「稲荷神」とも結び付けられました。
このようにして、仏教の天部である吒枳尼天は、日本独自の稲荷信仰と融合し、豊川稲荷ならではの信仰文化が生まれたのです。
また、この地はプラスとマイナスのエネルギーが均衡する「ゼロ磁場」ともいわれる特別な場所。
境内に足を踏み入れると、大地そのものが脈打つような「気」の流れを肌で感じることでしょう。
それは心の奥深くにまで静かに響き渡る感覚。
その感覚こそ、この場所の本質です。
【まとめ】
訪れたその日、境内には静かな時間が流れていました。
ただそこに身を置くだけで、自然と呼吸が深くなり、穏やかな気持ちになれたことが印象に残っています。
このご縁に、心より感謝いたします。
