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【誰袖の望月(満月)の詠】西行と芭蕉が伝える無常の美しさ

昨夜の大河ドラマ「べらぼう」で、誰袖(福原遥さん)が田沼意知(宮沢氷魚さん)に語った「望月の詠」。
去年の大河ドラマ『光る君へ』で道長の望月の歌を思い出した人もいるかもしれません。

身請けの約束はすでに交わされていましたが、誰袖が求めたのは形だけの責任ではなく、「私は本当にあなたの心にいるのか」という問いでした。

満月のように、二人の心は一瞬だけ完全に満ちていたのかもしれません。
そしてやがて欠けていく——
それを知りながら、咲いて散る花や満ちて欠ける月を歌にしたのが、西行です。

この記事では、大河ドラマの中で語られた望月の詠をきっかけに、西行や芭蕉の漂泊の句を辿りながら、「満ちて散る」一瞬の美しさをどう自分の心と日々に残すかをそっとお届けします。

誰袖の言葉が気になった人も、旅や満月の夜を小さな浄化の時間にしたい人も、ぜひゆっくり味わってみてください。

満開の桜並木に満月が照らす夜、桜吹雪が月光に舞う幻想的な春の吉野山の風景

【セリフにあった西行の「望月(満月)の詠」とは】

願はくは 花の下にて春死なむ その如月の望月のころ

現代語訳:
「できることなら、桜の花の下で春に死にたい。
その時期は如月(旧暦2月)の満月(望月)のころがいい。」

桜は咲いては散り、満月は満ちては欠ける——
西行は人生の最期を、この“満ちて散る”に重ねました。

伝承では、望みどおり旧暦2月16日、望月のころに亡くなったと伝えられています。


【西行という人】

西行(1118〜1190)は、武士・佐藤義清(のりきよ)として鳥羽上皇に仕えましたが、23歳で出家して“漂泊の歌僧”となりました。

  • 自然の中で無常を味わい、旅を修行とした
  • 桜と満月を「咲いて散り、満ちて欠けるもの」として愛した
  • 『山家集』などに多くの歌を遺し、後の芭蕉に大きな影響を与えました

旅はただの放浪ではなく「心を整える時間」だったのです。


【吉野山で心が身を離れる歌】

西行には、桜に心を奪われた歌も残っています。

吉野山 こずゑの花を 見し日より 心は身にも そはずなりにき

現代語訳:
「吉野山で梢の桜を見たその日から、私の心はもうこの身にさえ留まらなくなってしまった。」

桜を見て心が身を離れる。花を愛する心は、望月の詠と同じ“無常の美”を教えてくれます。


【吉野山 去年のしをりの道かへて…】

さらに西行は、桜の吉野山を何度も訪れ、同じ道を通らず“まだ見ぬ花”を探しました。

吉野山 去年のしをりの 道かへて まだ見ぬかたの 花を尋ねむ

現代語訳:
「吉野山へ行くときには、去年の道しるべをあえて変えて、まだ見たことのない方角の花を探してみよう。」

同じ場所にいても、同じ春は二度とない。

それを知るからこそ、人はまだ見ぬ花を探し続けるのです。


【芭蕉と西行:漂泊の系譜】

松尾芭蕉も西行を最も敬愛した俳人でした。

夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡

現代語訳:
「夏草が生い茂るこの場所には、かつて武士たちの栄華の跡が夢のように残っている。」

義経終焉の地・平泉で詠まれたこの句には、“栄華は満ちて散る”という西行の無常観が重なります。

芭蕉にとっての“心離れ”は、西行のように花に奪われるだけでなく、旅そのものが“心を留めない生き方”でした。


【芭蕉の無常の美しさを詠んだ句】

芭蕉が『奥の細道』という漂泊の旅を始めるとき、発句に選んだのは「行く春や 鳥啼き魚の 目は泪」という句でした。

行く春や 鳥啼き魚の 目は泪

現代語訳:
「行く春を惜しんでいると、鳥は鳴き、魚の目には涙がにじんでいるように見える。」

この句には、芭蕉の“無常を生きる心”と“西行の精神”が深く込められています。


🌸 1. 春の別れは旅立ちの象徴

『奥の細道』の旅立ちは旧暦3月下旬、春の終わりの頃でした。
花が散り、季節が去ることは、日常や門人たちとの別れと重なります。

芭蕉にとって春の別れは、漂泊の旅を始めるにふさわしい“哀しさ”を宿した季節でした。


🌿 2. 自然と心が共鳴する

鳥の声も、魚の目ににじむ涙も、すべては芭蕉の心を映す鏡のよう。

西行が「心は身にもそはずなりにき」と詠んだように、芭蕉もまた自然の中に心を溶かし、そのまま旅に出る覚悟を示したのです。


🕊️ 3. 『奥の細道』全体の無常のテーマに重なる

芭蕉の旅は、かつての栄華の跡や古人の足跡を訪れながら、朽ちゆくものの中に静かな美を見つけ、自然の移ろいを句に残す漂泊の記録でもありました。

その始まりに「春は行き、すべては去る」という句を置くことで、旅の最後まで流れる“満ちては欠ける”無常観を示しています。


【この句が示す漂泊の心】

この句を詠んで芭蕉は、形のある栄華ではなく、自然に自分を溶かしながら進むことを選びました。

行く春を惜しむ声と、鳥啼き魚の目に宿る涙は、芭蕉自身の“心離れ”の響きでもあったのです。


【水取りや 籠りの僧の 沓の音】

奈良・東大寺の修二会(お水取り)で、芭蕉は籠りの僧の足音に季節の移ろいを感じました。

水取りや 籠りの僧の 沓の音

夜の冷気と静寂の中に響く僧の沓(くつ)の音——
単に夜の情景を写し取っているだけでなく、その奥にある修行の厳しさや、静けさの中で春を待つ人々の心情をそっと映し出していると解釈されています。


【藤原道長の望月の歌】

去年の大河ドラマ『光る君へ』でも印象的に詠まれた藤原道長の望月の歌。

この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば

現代語訳:
「この世は私のもののようだ。満月のように、欠けるところなど何もないと思えるのだから。」

道長にとって望月は“欠けることのない永遠の栄華”の象徴でした。
しかし栄華を極めた藤原家もやがて衰退し、「満ちたものは必ず欠ける」という無常を後世に残しました。


【二つの“望月(満月)”の対比】

道長の望月は“永遠を誇る満月”。
西行の望月は“満ちて散るからこそ美しい満月”。

誰袖と田沼意知の物語は、形だけの責任ではなく、“満ちて欠ける”を知りながら心を一瞬だけ満たした小さな望月のように感じます。


【“満ちて散る”を味わうスピリチュアル旅】

🌸 吉野山・西行庵

桜の名所、吉野山には西行庵が残り、「まだ見ぬ花を探す」歌碑も心を迎えてくれます。

Googleマップ▶吉野山・西行庵

🍃 奈良・東大寺 二月堂・芭蕉句碑

芭蕉が詠んだ修二会(お水取り)の句碑を訪ねて、夜の足音に“満ちて散る”無常を感じてみてください。

Googleマップ▶東大寺 二月堂


🌕【満月にするといいこと10選】


1. これまでの自分を振り返る

満ちた月を眺めながら、ここまでの努力や流れを静かに振り返ります。
小さな自分の成長に「ありがとう」と言葉をかけて。


2. 感謝を書き出す

願いごとよりも、満月は「感謝」がテーマ。
手帳やノートに「今ありがたいこと」を10個だけ書いてみてください。


3. 不要なものを手放すと決める

満ちたものはやがて欠けていきます。
心に残る執着や、手放したい人間関係などを月にそっと委ねるイメージを。


4. お財布を月光浴させる

満月の光をお財布に当てて浄化&金運祈願。
「ありがとう、また満ちてきてね」と声をかけると良いそうです。


5. 窓を開けて月を愛でる

外に出られなくても、カーテンを開けて月を愛でるだけでも十分。
深呼吸しながら“満ちて散る”を味わいます。


6. 部屋を一箇所だけ整える

心と空間はつながっています。
クローゼット、バッグ、冷蔵庫など「一か所だけ片づける」が満月の習慣に◎


7. 塩風呂や月光浴で浄化する

満月は浄化のタイミングでもあります。
粗塩を入れたお風呂に入る、または外で月光を浴びてみて。


8. 願い事を叶えた未来をイメージする

満月は“収穫と実現”の象徴でもあります。
新月で願ったことがどのくらい叶ったかを味わい、残りの未来を心に描きましょう。


9. 一句を残す

西行や芭蕉のように、満月の夜に一句を言葉にして残す。
俳句、短歌、なんでも良いので心の形を留めます。


10. 好きな人に優しい言葉をかける

満ちている月のように、自分の心も少しだけ余裕を持たせて、大切な人に「ありがとう」「元気?」を届けてみてください。


【まとめ】

西行の望月の詠、吉野山の歌、道長の満月の歌、芭蕉の句、そして誰袖と田沼意知の儚い約束——

すべては「満ちては欠ける」無常の美しさを教えてくれます。

この物語に触れて、私は、形ではなく一瞬でも心が満ちることがどれほど静かで、どれほど美しいのかを思いました。

あなたもふと桜や満月(望月)を眺めたとき、この詠を思い出してみてくださいね。


【西行と芭蕉をもっと知る本】心に残したい 無常の言葉たち

もしこの旅の心に少しでも触れてみたくなったら、西行や芭蕉が遺した言葉を、そっとページの中で味わってみてください。
いくつかの関連書籍をご紹介します。


西行 魂の旅路 ビギナーズ・クラシックス日本の古典(角川ソフィア文庫)

桜をこよなく愛し、先人の跡を各地に訪ね、日本文化のさまざまな場面に足跡を残した西行。

👇彼の“言葉のこだわり”が見えてくる貴重な文庫版です。


『山家集』西行(角川ソフィア文庫)

西行が生涯をかけて詠んだ歌をまとめた歌集。

👇望月の詠や吉野の桜など、“無常を生きる言葉”が詰まった一冊。


『西行 歌と旅と人生』(寺澤行忠)

歌だけでなく、西行という人物の人生・旅路・思想まで読み解く入門書。

👇“なぜ西行は漂ったのか”が、丁寧に紐解かれます。


『西行』(白洲正子)

西行を愛した随筆家・白洲正子による名著。

👇旅する者の心に寄り添う、美しい文章で綴られています。


マンガ日本の古典(25) 奥の細道 矢口高雄(中公文庫)

👇旅を愛し、旅の中に「風雅の誠」を追求してみずからの俳諧を高めようとした松尾芭蕉の「みちのく」の旅の記録。


芭蕉自筆 奥の細道 (岩波文庫 黄)

👇江戸中期より行方知れずであった『奥の細道』の自筆草稿本の存在が一九九六年に公表され、書き癖から芭蕉の真蹟であることが明らかにされました。


『奥の細道 現代語訳鑑賞』(山本健吉)

現代語訳と丁寧な解説がついた『奥の細道』。

👇旅の背景や句の意味を深く理解したい方におすすめです。


静かな夜に、満月を眺めながら。

こうした本の一節を、あなたもそっと開いてみてはいかがでしょうか。



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