中国ドラマ『春花焰』第8・9話に登場する「上巳節(じょうしせつ)」。
街では上巳節のお祭りが開かれ、多くの人でにぎわっています。
中国で古くから受け継がれてきた伝統行事です。
上巳節とはどんな日なのか。
由来や風習、また日本の「桃の節句」との関係を紹介します。

上巳節とは?読み方と意味
上巳節(じょうしせつ)は、中国で古くから続く春の伝統行事です。
「上巳」とは、もともと旧暦3月の最初の「巳(み)の日」のこと。
漢代にはこの日が節日となり、魏晋時代以降は旧暦3月3日に定まり、「三月三」とも呼ばれるようになりました。
上巳節では何をする?
上巳節には、身を清めて災いを祓う風習から、春の自然や宴を楽しむものまで、さまざまな過ごし方がありました。
祓禊とは?
上巳節では、川や水辺で身を清める「祓禊(ふっけい)」が行われていました。
これは、冬の間にたまった汚れや病、災いを水で洗い流し、無病息災を願う風習です。
古代の人々にとって、水で体を清めることには、体の汚れを落とすだけでなく、病や不吉なものを祓う意味もありました。
踏青とは?
時代が進むと、上巳節には春の野山へ出かける「踏青(とうせい)」も行われるようになりました。
春の景色を楽しみながら、家族や友人と出かけたり、宴を開いたりして過ごします。
そして上巳節は、若い男女が出会い、交流する機会でもありました。
水辺に集まった男女が言葉を交わし、思いを寄せる相手と親しくなることもあり、上巳節は「古代中国の情人節」と紹介されることもあります。
曲水流觴とは?
そのひとつが「曲水流觴(きょくすいりゅうしょう)」です。
曲がりくねった水の流れに酒杯を浮かべ、杯が止まったところで酒を飲み、詩を詠みました。
353年の上巳節には、「書聖」と呼ばれる中国の書家・王羲之(おうぎし)らが、現在の浙江省紹興市にある蘭亭(らんてい)に集まり、曲水流觴を楽しみながら詩を詠みました。
その日に詠まれた詩をまとめる際、王羲之が書いた前書きが『蘭亭集序(らんていしゅうじょ)』です。
『蘭亭集序』は王羲之の代表作で、中国書道を語るうえで外せない作品です。
特に行書の名品として高く評価され、「天下第一行書」とも称されています。

『春花焰』第8・9話に登場する上巳節
『春花焰』第8・9話では、街に灯籠や火龍が登場し、上巳節のにぎやかな様子が描かれています。
上巳節の夜、書墨と張印の動きを追う慕容璟和と眉林。
二人は恋人同士を装って人混みに紛れ、皇太子側の目をごまかしながら祭りを楽しむふりをします。
そんな中、眉林が慕容璟和に贈ったのが、犬の灯籠でした。
自分を犬になぞらえられたと思った慕容璟和は、不満そうな様子を見せます。
しかし、眉林にとって犬は特別な存在です。
青州の大火のあと、唯一そばにいてくれた「仲間」が犬でした。
彼を大切な存在だと告白したようなもの。
華やかな上巳節の場面で、二人の距離が少しずつ変わっていく様子が描かれています。
日本の「桃の節句」と上巳節の関係
日本では3月3日といえば「ひな祭り」や「桃の節句」。
この日は、五節句のひとつ「上巳の節句」でもあります。
ちなみに五節句とは、季節の節目となる5つの日のこと。
- 1月7日 人日の節句 → 七草がゆ
- 3月3日 上巳の節句 → ひな祭り・桃の節句
- 5月5日 端午の節句 → こどもの日
- 7月7日 七夕の節句 → 七夕
- 9月9日 重陽の節句 → 菊の節句
中国から伝わった上巳の行事は、日本の人形(ひとがた)を使った厄払いなどと結びつきました。
さらに、平安時代には貴族の子どもたちが人形で遊ぶ「ひいな遊び」も行われていました。
こうした文化が重なり合い、やがて現在のひな祭りへとつながっていきます。
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