『春花焰』第10話で、慕容璟和が眉林に語った「仙鳥の伝説」。
瑠璃色の神衣をまとった仙鳥と、人間の少年の恋を描いた美しい物語。
これ、実際に中国にある伝説なの?
中国ドラマを見ていると、古くから伝わる物語がよく登場します。
そこで今回、この仙鳥の伝説について調べてみました。
ドラマとまったく同じ伝説はありませんでしたが、約1700年前の中国の書物に、とてもよく似た物語がありました。

『春花焰』第10話に登場する「仙鳥の伝説」とは?
第10話で慕容璟和は、眉林に北境へ遠征したときの話をします。
船で藍蒼江を渡った際、そこで見たというのが「瑠璃色の星の川」でした。
そして、その星の川にはこんな伝説があると語ります。
昔、瑠璃色の神衣をまとった仙鳥がいました。
仙鳥は玉青山の美しい景色に魅せられ、少女の姿に変わります。
そこで偶然出会った少年と、一目で恋に落ちました。
やがて別れのときが訪れます。
少年との別れを惜しんだ仙鳥が瑠璃色の神衣を川へ投げると、神衣は無数の星へと姿を変え、瑠璃色の星の川になったといいます。
さらにドラマでは、
「星の川を見た伴侶は添い遂げる」
とも語られています。
この仙鳥伝説が語られるのは、上巳節の夜。
上巳節は旧暦3月3日に行われてきた中国の春の行事です。
→ 上巳節とは?中国の春の行事を解説
中国には似た伝説があった|『捜神記』の「毛衣女」
調べていて見つけたのが、中国の古い説話集『捜神記(そうじんき)』に収められている「毛衣女」の物語です。
『捜神記』は、東晋の干宝が編纂したとされる書物で、神や仙人、妖怪、不思議な出来事など、当時伝わっていたさまざまな話が集められています。
「毛衣女」には、鳥と人間の女性の姿を行き来する、不思議な存在が登場します。
ある男性が田んぼで、数人の女性を見つけます。
彼女たちのそばには羽毛でできた衣があり、実は鳥でした。
男性はそのうち一人の羽衣を隠します。
羽衣を失った女性は飛び立つことができず、やがて男性の妻となり、子どもをもうけます。
その後、女性は隠されていた羽衣を見つけます。
そして羽衣を身につけると、再び空へ飛び去っていきました。
というモチーフが、古い中国の説話にも登場しているのは興味深いところです。
『春花焰』の仙鳥と「毛衣女」はどこが似ている?
『春花焰』の仙鳥伝説と『捜神記』の「毛衣女」。
| 『春花焰』第10話 | 『捜神記』毛衣女 |
|---|---|
| 瑠璃色の神衣を着た仙鳥 | 羽毛の衣を着た鳥の女性 |
| 少女の姿になる | 女性の姿で現れる |
| 人間の少年と出会う | 人間の男性と出会う |
| 少年と恋に落ちる | 男性の妻になる |
| 瑠璃色の神衣が重要な役割を持つ | 羽衣が空を飛ぶために必要 |
| 神衣を川へ投げる | 隠されていた羽衣を取り戻す |
| 少年との別れが描かれる | 羽衣を着て飛び去る |
こうして並べると似ていますね。
ちなみに、「羽衣がないと元の世界へ帰れない」という物語は日本にもあります。
三保の松原で知られる「羽衣伝説」です。
また、「鳥が女性の姿になる」という点では、「鶴の恩返し」を思い浮かべる人もいるかもしれません。
中国だけでなく、日本にもどこか似た物語が残っているのは興味深いですね。
結局、『春花焰』の仙鳥伝説は本当にあるの?
調べた範囲では、『春花焰』第10話で語られる
「瑠璃色の神衣を着た仙鳥が少女となり、人間の少年と恋に落ち、別れの際に川へ投げた神衣が星々になる」
という伝説と、まったく同じ中国の伝説は確認できませんでした。
ただし、中国には古くから、『捜神記』の「毛衣女」のように、鳥の女性、人間の男性、特別な衣、別れを描いた説話が残されています。
つまり『春花焰』の仙鳥伝説は、中国に古くからある物語のモチーフを思わせるドラマ独自の伝説のようですね。
『春花焰』では、第8〜9話に中国の春の行事「上巳節」も登場します。
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